◆ 事業承継成功のために~資産管理会社とは?  

① 資産管理会社は事業承継税制の適用対象外ですが、例外として認められるケースとは?

◆  2,500万円まで非課税で贈与できる「相続時精算課税制度」とは? 

② 相続時精算課税制度を選択した方がよいケースとは?

◆ 自分の土地を子どもに貸して家を建てさせる場合、贈与税はかかる?

③ 贈与税もかからず、相続時にも土地の評価が下がるケースとは?

 

 

 

① 資産管理会社は事業承継税制の適用対象外ですが、例外として認められるケースとは?

資産管理会社に該当すると、事業承継税制の適用対象から外れてしまいます(措法70の7の2②一ロ、マガジンP.2参照)が、次の3つの要件をすべて満たせば、資産管理会社に該当しないものとされています(措令40の8の2⑦)。

  1.  相続開始の日まで3年以上継続して、商品販売、資産の貸付け(同族関係者への貸付けは除く)、継続して有償による役務の提供(例えばテナントビル、アパートなどの貸付けや管理なども含む)(措規23の10⑥)を行っていること
  2.  常時使用する従業員(経営を承継する相続人等及びその者と生計を一にする親族以外の者)が5人以上であること
  3.  事務所、店舗、工場などの固定施設を所有するか、賃借していること

納税猶予の期限確定まで、上記の3つの全ての要件を満たし続ける資産管理会社に該当する会社を考えてみると、大規模な会社が当てはまるケースが多いと考えられますが、上記の要件のすべてを満たすかどうかを判定する場合には、その会社の特別関係会社等(注)についても考慮する必要があります。

特別関係会社等とは、事業承継税制の適用を受けようとする会社、その会社の代表権を有する者、その者と特別の関係がある者(親族や事実上の婚姻関係がある者など一定の者)、これらの者が50%超の議決権を有する他の会社の総株主等議決権が50%超である場合の当該他の会社をいいます(措法70の7の2②一ハ、措令40の8の2⑧)。

事業承継税制の適用を受けようとする会社が、上記の特別関係会社の株式を保有している場合には、資産管理会社に該当するか否かの判定式(マガジンP.2参照)の分子の特定資産から除かれます(ただし、この特別関係会社の株式が資産保有会社または資産運用型会社に該当する場合は除きます)。

資産管理会社の例外判定を行う場合には、特別関係会社の判定にも注意を払う必要があると言えます。

また、参考までにですが、風俗営業会社も事業承継税制の適用対象外となっています(措法70の7の2②一ニ)。風俗営業会社とは、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」第2 条第5項で定義されている性風俗関連特殊営業に該当する事業会社をいいます。

 

②  相続時精算課税制度を選択した方がよいケースとは?

相続時精算課税制度は、平成15年度に、次世代へ資産を移転し、これに伴う消費拡大と地域活性化を目的として導入されたものです。

この制度を選択すると有利なケースとして、まず第一に挙げられるのは、贈与者について将来相続が発生したときに、贈与者である被相続人について相続税を課税されないことが見込まれる場合です。

この場合だと、2,500万円までは、無税で、親または祖父母の生前に親から子または祖父母から孫にと、まとまった資産を一度に移転することができます。

相続時精算課税制度とは、ざっくりと言えば、相続が発生した時に、被相続人から生前に贈与を受けた財産を、被相続人の相続財産に加算して相続税を計算する制度(この制度を利用した時に課された贈与税があれば、その贈与税は相続税と相殺(精算)されます)なので、相続税が課税されない場合には、2,500万円までの財産であれば贈与税を支払うこともなく、子または孫は親または祖父母から贈与を受けることができます。

また、贈与者について将来相続が発生した場合に相続税が課税されると見込まれる場合においては、マガジンP.3に記載されているように、将来価値が上がると見込まれる財産については、相続時精算課税を選択した方が有利といえます。これは、相続時精算課税制度を選択した場合において、相続発生時に相続財産に加算される財産の価額は、贈与時の価額となるためです。

ただし、マガジン8月号のコラムに書いたとおり、相続時精算課税の適用を受けた財産が贈与者である被相続人の居住用の宅地であった場合には、小規模宅地等の課税の特例の適用はありません。小規模宅地等の課税の適用が受けられる財産の対象は、「相続または遺贈により取得した財産」に限られています(租法69の4))ので、子または孫が小規模宅地等の特例の適用を受けることができる可能性がある場には、その贈与については十分にご検討ください。

※相続時精算課税制度と併用できる贈与税の非課税制度として、住宅取得等資金の非課税制度(措法70の2)があります。下記の国税庁のHPで紹介されています。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

 

③ 贈与税もかからず、相続時にも土地の評価が下がるケースとは?

子どもが親の土地を無償で借りて、自分名義の住宅を建て、親と同居する場合が考えられます。

この場合、子どもが被相続人である親からその土地を相続により取得した場合、下記の要件の③を満たせば、自用地評価額の80%の評価減(400㎡まで)となる「特例居住用宅地等」の適用を受けることができます。

◆ 特例居住用宅地等の3つの適用要件(措法69の4③二ハ)

①被相続人である親と生計を一にする親族である子どもの居住用の宅地等であること

②子どもが相続(遺贈)により取得したものであること

③相続開始時から申告期限まで子どもがその宅地等を保有し、かつ、子どもが居住していること

子どもが親から土地を借りて自宅を建てているというケースにおいては、子どもが親から無償(使用貸借)で土地を借り受けている場合に限り、被相続人の居住の用に供されていた土地とされる(措通69の4-7(1))ため、特定居住用宅地等としての適用を受けることができるのです。

相続で取得した親の土地の評価が貸宅地評価とならなくても(マガジンP.4参照)、このようなケースでは、特例居住用宅地等の適用を受けることにより、相続税評価額を下げることができます。

※無償の土地の貸し借りを、「土地の使用貸借」といい、土地の使用貸借は、親子間や親族間など特別な関係のある個人間でよく見受けられます。個人間の土地の使用貸借においては、地代や権利金の支払いがなくても、贈与税は課税されません。また、借受人である子どもが、土地の所有者である親に固定資産税相当額の金銭等を支払っている場合でも、使用貸借に該当するとされています(昭48直資2-189、直所2-76、直法2-92)。