2018年8月

二世帯住宅の登記について

 ~ 居住用宅地等の敷地(330㎡以下)全体が、登記の方法によって小規模宅地等の適用対象とならない ~

相続税法の特例に、小規模宅地等の特例があります。

この特例は頻繁に改正がされるので、その適用要件は、しっかりと確認しておきたいものです。

平成25年度の改正により、二世帯住宅の居住用宅地等の適用要件は、緩和され、内部で行き来ができるかできないかにかかわらず、同居しているものとして、特例の適用ができるようになりました(措法69の4③二イ)。

ただし、ここで注意すべき点は、二世帯住宅のそれぞれの世帯が「区分所有登記」されている場合には、その住宅の敷地の全体が、特例の適用の対象とはならず、被相続人が居住していた世帯部分に対応する部分の敷地のみが、特例の適用対象となることです(措法40の2④⑩一)。

特例の適用が受けられる場合、居住用宅地等の相続税評価額の減額割合は、80%です。

仮に、被相続人である父親所有の敷地に、父親と息子で二世帯住宅を建築し、家屋の所有権を、父親と息子で1/2ずつ持っていたとします。この敷地は、時価1億円で面積は、居住用宅地等の適用限度面積の330㎡です。

「共有所有登記」されている場合、課税価格は、1億円-1億円 × 80%(8,000万円)=2,000万円 となります。

「区分所有登記」されている場合、課税価格は、1億円-1億円×1/2×80%(4,000万円)=6,000万円となります。

相続税額を試算する場合、住宅の敷地全体が居住用宅地等の特例の適用対象となるのかどうか、いま一度、家屋の登記情報を確認しておくことをお薦めします。