「一般社団法人を使った相続税節税法の検討」 平成30年6月15日参加

平成30年度税制改正で、特定一般社団法人等(注1)に対する相続税の課税制度(相法66の2)が創設されました。

これは、一般社団法人等を利用した相続税の課税逃れを防止するために創設された制度です。

この制度は、特定一般社団法人等の理事(理事でなくなった日から5年を経過していない者を含む=被相続人)が死亡した場合には、その特定一般社団法人等が、下記の①の金額に相当する金額を、その被相続人から遺贈により取得したものとして、その特定一般社団法人等に相続税を課するというものです。

一般社団法人等は、持分がないため、一般社団法人等の理事が亡くなってその理事の息子に代変わり(事業承継)しても、理事の息子においては持分(株式会社であれば株式)の承継がないため、相続税が課税されません。このことに着目して、相続税の対象となる財産を一般社団法人等に移転することにより、個人で保有していたとすれば課された相続税を納付しなくてよかったのです。

この改正により、一般社団法人等を利用した相続税対策ができなくなったと言われていますが、このセミナーの先生のご意見は違っていました。

「被相続人が個人で財産を保有している場合に比べて、他の同族理事(注2)の分だけ相続財産が少なくなることを考えれば、合法的な節税ではないのだろうか」

確かに、相続税の課税対象となる金額は、次の算式により計算されます。

①特定一般社団法人等の純資産額 ÷ 相続時の同族理事の数 + 1(理事であった被相続人を含みます)

なるほど💡考え方次第では、今回の改正をポジティブに捉えることもできるということです。

(注1)次の要件のいずれかを満たす一般社団法人等をいいます(相法66の2②三)

①被相続人の相続開始の直前におけるその被相続人に係る同族理事の数の理事の総数のうちに占める割合が二分の一を超えるもの
②被相続人の相続の開始前五年以内において当該被相続人に係る同族理事の数の理事の総数のうちに占める割合が二分の一を超える期間の合計が三年以上であるもの
(注2)一般社団法人等の理事のうち、被相続人又はその配偶者、三親等内の親族その他の当該被相続人と政令で定める特殊の関係のある者をいいます(相法66の2二)。